硝子戸と狼

別名義でネットに投稿した詩をまとめています。

しにく

 

手首の傷から

 「生きたい」と零れました

 

カッターナイフには

 「い」の滓がこびりついた、

 切れ味を悪くした

 

「きらい」の文字は案外鋭く

 左胸に刺さるけど

 なぜか「ありがとう」が飛び出す

 

管をぐるぐる廻る言葉を

 入れ替えて吐き出して

 

いつしか

 しだらけの床と壁と天井

あまたの感情にびちばちと

 マーブル色、

 染められている